「さて、そろそろデザートだけど、ヨシちゃん、後はヨロシクね~」
音依は気楽に吉継の背中を再度叩いた。
「え、何?母さんは?」
「他のお客さんのオーダー、私がやっておくから。後は飾りだけだから頼むわよ」
音依はいつの間にか束になっていた注文伝票をパタパタさせ、ウィンクした。
まだまだひすとり庵は忙しい。カウンターを任された吉継はグイとエプロンの紐を締め直して須和子と東有子へ確かめた。
「では本日のご依頼のデセールをお通ししてよろしいでしょうか」
「そうね、お願いするわ」と東有子と須和子は揃って声を出した。
すると急に秀晶が吉継の隣に立って不可解な目を向けた。
「何、お母さん、依頼のデザートって?」
「ちょっと、秀晶、あなた皿洗いはどうしたのよ」
「もう一通り終わったもん。ね、ヨシ、特別なデザートが出るの?私知らないけど」
「え、ああ。晶のいない昼間に粗方仕上げておいたから。実は夏向きのオリジナルデザートを俺と母さんに作って欲しいっていうお二方からリクエストが昨日あったんだ」
「む、何か面白くない。お母さんばっか、ズルイ!」
「秀晶、あなたね、結構な頻度で夜賄いを御馳走になっている身で何言い掛かり付けてるのよ」
「それとこれとは話が別だもん。デザート私も欲しい!!」
「私はお客として来てるのよ。いい加減になさい」
「ヤダヤダ、けなりー(うらやましい)!」
「駄々こねないの!ヨシ君困ってるでしょ」
親子の言い合いに苦笑する吉継を見て東有子は注意した。
「あー、あのー、大谷さん。ここでの親子喧嘩は………」
吉継は他の客の手前、注意の声を掛けた。
「あら、さっきから『大谷さん』なんて堅苦しい。ヨシ君なら私をお母さんと呼んでくれても構わないのよ。いずれそうなるかもしれないんだから」
「は?」
「ちょ、母ちゃんは、またのくてー(馬鹿な)事!!!」
耳まで真っ赤にした秀晶は東有子に福井弁で怒った。
「まあまあ、晶、落ち着けって。何を怒ってるのか知らないけどさ」
と吉継が宥めると秀晶は吉継を横睨みしてその靴先を力一杯グリグリ踏み付けた。
「イッテー、何するんだよ」
意味不明な行動に飛び上がって文句を吐く吉継であったが、秀晶は再度睨む目付きで、
「ウチにもデザート!」
と、すごんだ。
「は?」
「傷ついたんにゃ。詫びにデザートウチにも何かこさえてや」
「お、おい、晶」
「え・え・で、は・よ・し・ね・ま・(いいから早くしてよ)」
吉継は助けてとばかりに母親の東有子に首を向けたが東有子は諦めた首を振った。
「ヨシ君、こうなった秀晶は手が付けられないわよ。悪いけど私達の前に何か出してあげて。お金は私が後で払うから。えっと、ごめんさい、ちょっと待ってもらってもいいかしら、須和子さん?」
東有子は左隣に謝った。
「急いでないから私は構わないわよ」と須和子は追加のワインを飲みながら了承した。
はあ、とまた大きな諦めの息を吐いて吉継は、秀晶にユニフォームを外させ、東有子の隣に座らせて了解を求めた。
「今直ぐ出せる物だったらかき氷になるけど」
「かき氷は好き。変わったかき氷なら特に好き」
忽ち上機嫌になる秀晶に吉継は仕方ない奴だと呆れ果てた。
「変わったのなら昨日から始めた新作氷がある。それでいいか?」
「いーざ(オーケー)」
「じゃあ少しだけ待っててくれ」
吉継はそうするとバックヤードに消えていった。そして暫くするとシャリシャリという氷を削る音が遠くから響いてきた。それから二分ほど経って吉継が丸い木の器に入った、高さが二十センチ程の、オレンジ色のシロップがたっぷり掛かったかき氷を運んできた。
「はい、お待たせ。ひすとり庵特製『大柿氷』だよ」
「おおがきごおり?」
見ると木の器はミニサイズの「タライ」である。そしてその外側の相向かいには「大一大万大吉」と「三つ葉葵」の焼き印が押されていた。
「ヨシ、これって三成の旗印と家康の家紋だよね?」
「説明は食べながら、な。かき氷は溶けない内が一番だから」
吉継はスプーンを渡して催促した。
早速秀晶は上の鮮やかなオレンジ色のシロップを氷ごと大きくすくって口に入れた。
すると覚えのある果物の甘味とプラス爽やかな酸味が混ざり合って口の中ですうっと消えていった。
「これ、柿だ!それと何だろう、もう一つ」
秀晶は二口、三口とスプーンを運びながら再度味を確かめた。
「あ、そうか、ヨーグルト!」
「正解。上に掛かっているのは富有柿のピューレだよ。去年収穫したものを加工して冷凍保存してあるんだ。そしてそのピューレの下に隠れているのがプレーンヨーグルト。さっき母さんが使ったエスプーマでムース状にしてかけてある。そのままよりふんわりしてるだろ?」
「うんうん、美味しい美味しい」
心から喜んで食する秀晶を見て吉継は楽しくなった。
料理人の最高の報酬はこの幸せそうな笑顔なのである。
「柿とヨーグルトは相性がいいんだ。クリームチーズでもよかったけど爽やかさならヨーグルトが優ってるし、それに晶はヨーグルト好きって言ってしな」
「えへ、ありがと………あッ、かき氷の頭痛、キーンと来た」
くうーと痛そうにこめかみを押さえる秀晶に東有子は笑った。
「馬鹿ね、慌てて一息にかき込むからよ」
「だって美味しいんだもん。それに溶かしたら勿体ないし」
「ハイハイ、でも少しはペースを落としなさい。それより御馳走してあげるんだから一口くらいお母さんにくれてもいいんじゃないかしら」
「………一口だけだからね」
秀晶は大きくすくった氷のスプーンを東有子に向けた。東有子はそれをパクリと食べた。
「ふふふ、仲が良いのね」
須和子は親子の睦まじい光景に頬杖をついて微笑していた。
すると気恥ずかしさに気付いた秀晶が慌ててかき氷に再び向かった。
「あれ?これ」
秀晶は氷の中に隠れていた焦げ茶色のトロリとしたものをスプーンですくい上げた。
直ぐに吉継は解説した。
「それはヘタと種を抜いた甘干しだよ」
「アマボシ?」
「関ヶ原では干し柿の別名」
「え、干し柿?干し柿ってもっと硬いんじゃ?」
「ああ。本来は硬いけど、実は干し柿は砂糖水で数時間から一晩浸けておくと柔らかくなるんだ。だからよくジャムにも使う」
「あ、ホントだ。柔らかくて甘い!」
秀晶は口に甘干しを入れてより上機嫌になった。
【何ともはや、治部はかように美味きものを嫌がったのか】
突然大谷吉継がアルスで割り込んできた。吉継少年は驚いて秀晶の胸ポケットへ尋ねた。
【あれ、刑部どのも霊なのに物を食べるんですか?】
【否、吾が主の心象に同調して感覚的に賞味しているに過ぎぬ。金吾殿の如く直に酒を飲んだりはせぬしの。それより『かき氷』か、この冷菓も胃の腑の弱き治部では腹を壊してしまうやもしれぬの】
【治部どのって噂通りにそんなに胃腸が弱かったんですか?】
【ふむ、小姓の折は左様でもなかったが、奉行になってから病んできた。今でいう過敏性腸症候群じゃろうな。やり方はどうであれ、豊臣家を護らんと陣頭で気張りすぎた。あのたわけ者が、もっと吾を頼ればよかったものを………うん、貴公、何を左様に笑んでおる?】
大谷吉継は吉継少年の満面の笑みに気付いた。
【いえいえ、本当に治部どのを大事に思っていたんだな、と。刑部どの本人から聞けるとは思ってもませんでしたから嬉しくて】
【無論であろう。あやつは吾の竹馬の友じゃ。故に内府殿でなく治部に与した。なれど勝ち目が薄い勝負に乗るとは吾も相当のうつけであったな】
【うつけだなんてとんでもない!義というものは………】
【もしもし、ヨシ?アルス使って私の目の前で勝手に刑部と会話されると氷食べづらいんだけど】
秀晶が呆れ返った顔を上げていた。
【ああ、悪い】
「全く、いつも刑部、刑部って、少しは私も気に懸けてくれたって………」
「何?」
ボソボソ呟く秀晶に吉継は耳を近付けた。
「何でもない!………あれ、何か底に入ってる?」
かき氷も終盤に差し掛かった頃、秀晶は氷を通してスプーンの先にクニャとした感覚を捉えた。そして慌ててそれを掘り起こしてみた。すると中から小さく丸い透明で、中心に小豆餡が閉じこめられた菓子を二つ見付けた。
「これ、水饅頭だー!!」
まるで宝物を掘り当てたように秀晶はキラキラした目で嬉しそうに吉継を見上げた。
水饅頭は一般的に葛粉とわらび粉を混ぜて固めた和菓子で、中に入れる餡は定番のこし餡をはじめ、抹茶餡、果物味の餡など多岐にわたる。
同時にそれは秀晶の好物の一つであった。
「そう、水饅頭は大垣市発祥の夏の銘菓さ。大垣駅前通の大抵の和菓子屋はこの時期水饅頭を店頭に並べてる。中でも水饅頭をかき氷に入れた餅惣(もちそう)の『水まん氷』は有名だ。ウチのかき氷はそこからアイデアを使わせてもらってる。それに餅惣では八角形の木枡を器に使っているけど、ウチでは小さいサイズの特注タライを使ってるんだ。ちなみに大垣は木枡の生産量が全国の八割を占めるから餅惣ではそれを器としてる」
「ほーん(ふーん)」
秀晶は口一杯に水饅頭を幸福な笑みで頬張りながら感心していた。
「タライに押してある二つの焼き印は石田三成と徳川家康の象徴だ。三成が柿と関わりがある(第一話参照)のは晶も当然知ってると思うし、大垣城が関ヶ原合戦時に三成の陣城であった歴史も広く知られている。大垣は当時、現在の『大垣』という漢字と『大柿』という文字が混在していたんだ」
「だから柿を使ったの?」
残りのかき氷をさらえながら秀晶は尋ねた。
「そう。ただ、柿は三成の逸話だけじゃない。家康も関ヶ原合戦の時に深く関わっている」
「あら、そのエピソード、私、何かで読んだ記憶あるわよ」
ここで須和子が物知り顔で人差し指を振った。
「確か、岐阜から赤坂の岡山、えっと、今の勝山だったかしらね、そこへ向かう途中の墨俣で家康が農民から柿を貰って『大柿が手に入った』って縁起を担いで大喜びする、っていうアレよね、大きな柿と大垣をかけた」
「へえ、そうなの、ヨシ?」
スプーンをくわえたまま秀晶が興味深げに吉継へ確かめた。
吉継はすると申し訳なさそうな視線を須和子に向けた。
「あ、いや、武田さん。実はそのエピソードは後世で食い違ってしまったらしいんです。柿を貰ったというのは間違いなさそうなんですが、墨俣というのが………」
「あれ、場所が違うの?」
「ええ、どうやら進軍のルートが異なるみたいです。九月一日、江戸を出発した家康は東海道を進み、十一日には清洲、そして十三日には岐阜城へと兵を進めました。そしてそのまま十四日には大垣の赤坂へと向かうんですが、ところが岐阜から赤坂までの詳細なルートの、信憑性のある資料は無いんです。つまり、正確にどこを通ったかというのは分かりません。しかし、その周辺の地元の民話に二つの言い伝えがあります」
「民話に?」
「その前に、関ヶ原合戦当時の戦況を整理しましょう」
吉継はスマホでGoogle MAPの、岐阜城から関ヶ原にかけてまでの地図を見せながら解説した。
「この頃西軍は岐阜城を攻略した東軍の進軍を押し止めるべく作戦を立てています。石田三成と小西行長の隊は揖斐川の支流である呂久(ろく)川、そして長良川の支流・合渡(ごうど)川に守りを固めました。対して島津義弘は墨俣に陣を張りました。しかし、早々に三成達は黒田長政・田中吉政・藤堂高虎らの軍勢に破られて退却してしまいます。一般に三成が島津を置き去りにしたとされるのはこの時です。ただ、義弘も退却しつつ、東軍に囲まれないよう兵を数百呂久川に備えました。この島津の動きを覚えておいて下さい」
「島津が呂久川に、ね」
「それで話は家康の進軍に戻りますが、大垣の赤坂は岐阜城から西南の方角にあります。その途中に呂久川があります。ところが、墨俣はもっと南に下らなければいけません。大垣は西軍の勢力下にありますから可能な限り北へ迂回して赤坂へと進軍するのがセオリーです。つまり、赤坂へ向かうのにわざわざ危険を冒して南回りの、そして遠回りの墨俣を通る必要はないんです」
「なるほど論理的だわ」
「家康のルートの一つは岐阜の木田(きだ)の渡しから北方の芝原、これは本巣の北方芝原ですが、そしてそのまま神戸(ごうど)へ向かったとされています。この経路は岐阜城からほぼ真西へと向かう方角になります。そこで、恐らく岐阜経済大学の北あたりの堤で、突然家康は島津の控えていた鉄砲隊長・川上左京亮久林(ひさしげ)らの奇襲を受けました。島津は殿(しんがり・最後に止まって応戦する軍)を任される形になったものの、同時に家康の西上を阻止しようと広い範囲に兵を潜めさせていました。先に大軍勢を向かわせていた家康に油断があったのか、僅か五百の兵しか連れていなかった家康は、この奇襲でパニックになり一時は腹を切る覚悟をしたそうです。しかし家臣に諫められ、何とか必死に味方の待つ神戸の白山神社へ落ち延びました」
「え、家康が襲撃された!?そんなの知らないけど」
「いえ、これはあくまでも伝承で、実際は謎なんです。都合の悪い歴史として後の幕府によって消されたのかもしれません。そしてまた別の裏話はこうです。稲葉一鉄の息子である稲葉貞通と加藤貞康を道案内とした家康一隊は木田から本巣の席田(むしろだ)へ順調に兵を進め、神戸の白山神社で途中休憩をしました。その時に八条村の瑞雲寺住職、智功から駕籠一杯の木練柿を献上されて家康は歓喜して小姓達にばらまいたそうです。それが先程の柿の逸話です。しかし、それが時代と共に墨俣にすり替わってしまったようです」
吉継は続けた。
「黒田官兵衛や長政に代表される筑前黒田家の公式記録でもある『黒田家譜』にはこう記述してあります。『西の保(神戸町西保)を御通有し時、美濃安八郡八條(八条)村瑞苑(瑞雲)寺の禅僧、木練柿(こねりがき・枝になったままで熟するカキ)一折抗瀬川の道にをいて献じければ、家康公其柿を一御手にとらせ給ひて、大柿既に手に入たると悦びたまひて、其餘は御近習に賜はりける』と。更に『瑞雲寺文書』によるとその柿を献上したゆえんで瑞雲寺は『柿寺』と称され、寺領十石を永代下賜されました。今でもその寺は臨済宗妙心寺派金龍山瑞雲禅寺として残っています」
「へえ、柿の寺は神戸だったのね」
「正に予言されたように家康は関ヶ原合戦に勝利し、大垣(大柿)城を手に入れました。そして落城の間際、城から脱出した山田去暦(きょれき)の娘、おあむがタライに乗って逃げた故事から現在大垣市は水門川にタライ船を浮かべて観光客をもてなしています」
「はー、だからこの器はタライなんだね」
と、秀晶は「ごちそうさま」と合掌しながら感心した。
「どうだった、晶?」
「うん、本当に美味しかった~。歴史の解説も味もまさに柿尽くしだったね。で、このかき氷、ヨシが考えたの?」
「………いや、全部母さん」
「ガンバ、ファイトだよ、ヨシ。これからこれから!!」
秀晶はガッツポーズで激励した。
「親子で励ますの、却って傷つくから止めてくれないかな」
トホホと元気なく食器を片付ける吉継に東有子がシャンパンを飲みながら不思議そうに首をかしげた。
「しかし、ヨシ君の解説はまるで歴史学者のようだわ。料理は音依さんに教わっているとはいえ、小学六年生でよく色々難しい言い回しを知っているのね。そういえば秀晶もいつからか、大人みたいな喋り方をするようになったのよね。何故かしら」
「!!」
吉継と秀晶は「まずい」とばかりにギクリと体を揺らした。
冬、担任教諭の武美を見舞った時(三話参照)も同じ指摘をされたのだが、その時は何とかクラスメートの細川汐恩が話をすり替えてくれたので事無きを得た。しかし、東有子は娘の挙動不審までも同時に疑っている。
ちなみに高感応の依巫である霊媒の二人にはエディティオ・ウルガータという、言語最適化フィルターが備わっているので自然と大人びた論調になるのであるが、それは吉継と秀晶しか知らない秘密でもあった。
「え、えっと、それはヨシと一緒に夏休みの自由研究で関ヶ原合戦の歴史を丁度調べていたんだよね。ほら、関ヶ原のふれあい図書館って専門書も多いから」
秀晶が辿々しく誤魔化そうとしたが、
「秀晶、あなたの自由研究ってワイヤー工作だったでしょ?」
と、東有子に直ぐ突っ込まれた。
「いや、それは………そう、ヨシのだよ、私が手伝ってあげてるの、ね、ヨシ?」
秀晶は皿洗いに戻るため、エプロンとバンダナ帽を再度着けてキッチンに入り吉継の肩を叩くと言及を避けた。
【おい、晶、こっちに丸投げするな。俺の自由研究は『野草の標本作り』だぞ】
吉継は焦ってアルスで言い返した。
【仕方ないでしょ、こうなったら合わせてよ。そもそもヨシが調子に乗ってペラペラと喋ったからお母さんに怪しまれてるんだからね】
【そ、それは、確かに】
正論にぐうの音も出ない吉継は、
「そ、そうなんですよ。さっきのもたまたま暗記してただけで」
と東有子に空笑いで逃れようとした。それでも東有子は納得せず訝しげな視線を送り続けていた。
この時、須和子が困っている吉継に助け船を出した。
「東有子さん、ヨシ君は前からこんな感じですよ。言葉遣いはおねさんが教育しているし、まして大人の中で仕事をしてるからそれなりに老成した口調になってるの。そのヨシ君と話したくてわざわざここに通っている常連もいるくらいだもの。今は違和感があっても直ぐ慣れるわよ」
「………うーん、そうね、数カ国語を操ってなお歴史に詳しい天才音依さんの子供ですもの、考えてみればおかしくもないか」
東有子は須和子の説明を受けて腑に落ちたようである。
ナイスフォローです、と吉継は須和子に心の中で拍手しほっと胸をなで下ろした。
音依は気楽に吉継の背中を再度叩いた。
「え、何?母さんは?」
「他のお客さんのオーダー、私がやっておくから。後は飾りだけだから頼むわよ」
音依はいつの間にか束になっていた注文伝票をパタパタさせ、ウィンクした。
まだまだひすとり庵は忙しい。カウンターを任された吉継はグイとエプロンの紐を締め直して須和子と東有子へ確かめた。
「では本日のご依頼のデセールをお通ししてよろしいでしょうか」
「そうね、お願いするわ」と東有子と須和子は揃って声を出した。
すると急に秀晶が吉継の隣に立って不可解な目を向けた。
「何、お母さん、依頼のデザートって?」
「ちょっと、秀晶、あなた皿洗いはどうしたのよ」
「もう一通り終わったもん。ね、ヨシ、特別なデザートが出るの?私知らないけど」
「え、ああ。晶のいない昼間に粗方仕上げておいたから。実は夏向きのオリジナルデザートを俺と母さんに作って欲しいっていうお二方からリクエストが昨日あったんだ」
「む、何か面白くない。お母さんばっか、ズルイ!」
「秀晶、あなたね、結構な頻度で夜賄いを御馳走になっている身で何言い掛かり付けてるのよ」
「それとこれとは話が別だもん。デザート私も欲しい!!」
「私はお客として来てるのよ。いい加減になさい」
「ヤダヤダ、けなりー(うらやましい)!」
「駄々こねないの!ヨシ君困ってるでしょ」
親子の言い合いに苦笑する吉継を見て東有子は注意した。
「あー、あのー、大谷さん。ここでの親子喧嘩は………」
吉継は他の客の手前、注意の声を掛けた。
「あら、さっきから『大谷さん』なんて堅苦しい。ヨシ君なら私をお母さんと呼んでくれても構わないのよ。いずれそうなるかもしれないんだから」
「は?」
「ちょ、母ちゃんは、またのくてー(馬鹿な)事!!!」
耳まで真っ赤にした秀晶は東有子に福井弁で怒った。
「まあまあ、晶、落ち着けって。何を怒ってるのか知らないけどさ」
と吉継が宥めると秀晶は吉継を横睨みしてその靴先を力一杯グリグリ踏み付けた。
「イッテー、何するんだよ」
意味不明な行動に飛び上がって文句を吐く吉継であったが、秀晶は再度睨む目付きで、
「ウチにもデザート!」
と、すごんだ。
「は?」
「傷ついたんにゃ。詫びにデザートウチにも何かこさえてや」
「お、おい、晶」
「え・え・で、は・よ・し・ね・ま・(いいから早くしてよ)」
吉継は助けてとばかりに母親の東有子に首を向けたが東有子は諦めた首を振った。
「ヨシ君、こうなった秀晶は手が付けられないわよ。悪いけど私達の前に何か出してあげて。お金は私が後で払うから。えっと、ごめんさい、ちょっと待ってもらってもいいかしら、須和子さん?」
東有子は左隣に謝った。
「急いでないから私は構わないわよ」と須和子は追加のワインを飲みながら了承した。
はあ、とまた大きな諦めの息を吐いて吉継は、秀晶にユニフォームを外させ、東有子の隣に座らせて了解を求めた。
「今直ぐ出せる物だったらかき氷になるけど」
「かき氷は好き。変わったかき氷なら特に好き」
忽ち上機嫌になる秀晶に吉継は仕方ない奴だと呆れ果てた。
「変わったのなら昨日から始めた新作氷がある。それでいいか?」
「いーざ(オーケー)」
「じゃあ少しだけ待っててくれ」
吉継はそうするとバックヤードに消えていった。そして暫くするとシャリシャリという氷を削る音が遠くから響いてきた。それから二分ほど経って吉継が丸い木の器に入った、高さが二十センチ程の、オレンジ色のシロップがたっぷり掛かったかき氷を運んできた。
「はい、お待たせ。ひすとり庵特製『大柿氷』だよ」
「おおがきごおり?」
見ると木の器はミニサイズの「タライ」である。そしてその外側の相向かいには「大一大万大吉」と「三つ葉葵」の焼き印が押されていた。
「ヨシ、これって三成の旗印と家康の家紋だよね?」
「説明は食べながら、な。かき氷は溶けない内が一番だから」
吉継はスプーンを渡して催促した。
早速秀晶は上の鮮やかなオレンジ色のシロップを氷ごと大きくすくって口に入れた。
すると覚えのある果物の甘味とプラス爽やかな酸味が混ざり合って口の中ですうっと消えていった。
「これ、柿だ!それと何だろう、もう一つ」
秀晶は二口、三口とスプーンを運びながら再度味を確かめた。
「あ、そうか、ヨーグルト!」
「正解。上に掛かっているのは富有柿のピューレだよ。去年収穫したものを加工して冷凍保存してあるんだ。そしてそのピューレの下に隠れているのがプレーンヨーグルト。さっき母さんが使ったエスプーマでムース状にしてかけてある。そのままよりふんわりしてるだろ?」
「うんうん、美味しい美味しい」
心から喜んで食する秀晶を見て吉継は楽しくなった。
料理人の最高の報酬はこの幸せそうな笑顔なのである。
「柿とヨーグルトは相性がいいんだ。クリームチーズでもよかったけど爽やかさならヨーグルトが優ってるし、それに晶はヨーグルト好きって言ってしな」
「えへ、ありがと………あッ、かき氷の頭痛、キーンと来た」
くうーと痛そうにこめかみを押さえる秀晶に東有子は笑った。
「馬鹿ね、慌てて一息にかき込むからよ」
「だって美味しいんだもん。それに溶かしたら勿体ないし」
「ハイハイ、でも少しはペースを落としなさい。それより御馳走してあげるんだから一口くらいお母さんにくれてもいいんじゃないかしら」
「………一口だけだからね」
秀晶は大きくすくった氷のスプーンを東有子に向けた。東有子はそれをパクリと食べた。
「ふふふ、仲が良いのね」
須和子は親子の睦まじい光景に頬杖をついて微笑していた。
すると気恥ずかしさに気付いた秀晶が慌ててかき氷に再び向かった。
「あれ?これ」
秀晶は氷の中に隠れていた焦げ茶色のトロリとしたものをスプーンですくい上げた。
直ぐに吉継は解説した。
「それはヘタと種を抜いた甘干しだよ」
「アマボシ?」
「関ヶ原では干し柿の別名」
「え、干し柿?干し柿ってもっと硬いんじゃ?」
「ああ。本来は硬いけど、実は干し柿は砂糖水で数時間から一晩浸けておくと柔らかくなるんだ。だからよくジャムにも使う」
「あ、ホントだ。柔らかくて甘い!」
秀晶は口に甘干しを入れてより上機嫌になった。
【何ともはや、治部はかように美味きものを嫌がったのか】
突然大谷吉継がアルスで割り込んできた。吉継少年は驚いて秀晶の胸ポケットへ尋ねた。
【あれ、刑部どのも霊なのに物を食べるんですか?】
【否、吾が主の心象に同調して感覚的に賞味しているに過ぎぬ。金吾殿の如く直に酒を飲んだりはせぬしの。それより『かき氷』か、この冷菓も胃の腑の弱き治部では腹を壊してしまうやもしれぬの】
【治部どのって噂通りにそんなに胃腸が弱かったんですか?】
【ふむ、小姓の折は左様でもなかったが、奉行になってから病んできた。今でいう過敏性腸症候群じゃろうな。やり方はどうであれ、豊臣家を護らんと陣頭で気張りすぎた。あのたわけ者が、もっと吾を頼ればよかったものを………うん、貴公、何を左様に笑んでおる?】
大谷吉継は吉継少年の満面の笑みに気付いた。
【いえいえ、本当に治部どのを大事に思っていたんだな、と。刑部どの本人から聞けるとは思ってもませんでしたから嬉しくて】
【無論であろう。あやつは吾の竹馬の友じゃ。故に内府殿でなく治部に与した。なれど勝ち目が薄い勝負に乗るとは吾も相当のうつけであったな】
【うつけだなんてとんでもない!義というものは………】
【もしもし、ヨシ?アルス使って私の目の前で勝手に刑部と会話されると氷食べづらいんだけど】
秀晶が呆れ返った顔を上げていた。
【ああ、悪い】
「全く、いつも刑部、刑部って、少しは私も気に懸けてくれたって………」
「何?」
ボソボソ呟く秀晶に吉継は耳を近付けた。
「何でもない!………あれ、何か底に入ってる?」
かき氷も終盤に差し掛かった頃、秀晶は氷を通してスプーンの先にクニャとした感覚を捉えた。そして慌ててそれを掘り起こしてみた。すると中から小さく丸い透明で、中心に小豆餡が閉じこめられた菓子を二つ見付けた。
「これ、水饅頭だー!!」
まるで宝物を掘り当てたように秀晶はキラキラした目で嬉しそうに吉継を見上げた。
水饅頭は一般的に葛粉とわらび粉を混ぜて固めた和菓子で、中に入れる餡は定番のこし餡をはじめ、抹茶餡、果物味の餡など多岐にわたる。
同時にそれは秀晶の好物の一つであった。
「そう、水饅頭は大垣市発祥の夏の銘菓さ。大垣駅前通の大抵の和菓子屋はこの時期水饅頭を店頭に並べてる。中でも水饅頭をかき氷に入れた餅惣(もちそう)の『水まん氷』は有名だ。ウチのかき氷はそこからアイデアを使わせてもらってる。それに餅惣では八角形の木枡を器に使っているけど、ウチでは小さいサイズの特注タライを使ってるんだ。ちなみに大垣は木枡の生産量が全国の八割を占めるから餅惣ではそれを器としてる」
「ほーん(ふーん)」
秀晶は口一杯に水饅頭を幸福な笑みで頬張りながら感心していた。
「タライに押してある二つの焼き印は石田三成と徳川家康の象徴だ。三成が柿と関わりがある(第一話参照)のは晶も当然知ってると思うし、大垣城が関ヶ原合戦時に三成の陣城であった歴史も広く知られている。大垣は当時、現在の『大垣』という漢字と『大柿』という文字が混在していたんだ」
「だから柿を使ったの?」
残りのかき氷をさらえながら秀晶は尋ねた。
「そう。ただ、柿は三成の逸話だけじゃない。家康も関ヶ原合戦の時に深く関わっている」
「あら、そのエピソード、私、何かで読んだ記憶あるわよ」
ここで須和子が物知り顔で人差し指を振った。
「確か、岐阜から赤坂の岡山、えっと、今の勝山だったかしらね、そこへ向かう途中の墨俣で家康が農民から柿を貰って『大柿が手に入った』って縁起を担いで大喜びする、っていうアレよね、大きな柿と大垣をかけた」
「へえ、そうなの、ヨシ?」
スプーンをくわえたまま秀晶が興味深げに吉継へ確かめた。
吉継はすると申し訳なさそうな視線を須和子に向けた。
「あ、いや、武田さん。実はそのエピソードは後世で食い違ってしまったらしいんです。柿を貰ったというのは間違いなさそうなんですが、墨俣というのが………」
「あれ、場所が違うの?」
「ええ、どうやら進軍のルートが異なるみたいです。九月一日、江戸を出発した家康は東海道を進み、十一日には清洲、そして十三日には岐阜城へと兵を進めました。そしてそのまま十四日には大垣の赤坂へと向かうんですが、ところが岐阜から赤坂までの詳細なルートの、信憑性のある資料は無いんです。つまり、正確にどこを通ったかというのは分かりません。しかし、その周辺の地元の民話に二つの言い伝えがあります」
「民話に?」
「その前に、関ヶ原合戦当時の戦況を整理しましょう」
吉継はスマホでGoogle MAPの、岐阜城から関ヶ原にかけてまでの地図を見せながら解説した。
「この頃西軍は岐阜城を攻略した東軍の進軍を押し止めるべく作戦を立てています。石田三成と小西行長の隊は揖斐川の支流である呂久(ろく)川、そして長良川の支流・合渡(ごうど)川に守りを固めました。対して島津義弘は墨俣に陣を張りました。しかし、早々に三成達は黒田長政・田中吉政・藤堂高虎らの軍勢に破られて退却してしまいます。一般に三成が島津を置き去りにしたとされるのはこの時です。ただ、義弘も退却しつつ、東軍に囲まれないよう兵を数百呂久川に備えました。この島津の動きを覚えておいて下さい」
「島津が呂久川に、ね」
「それで話は家康の進軍に戻りますが、大垣の赤坂は岐阜城から西南の方角にあります。その途中に呂久川があります。ところが、墨俣はもっと南に下らなければいけません。大垣は西軍の勢力下にありますから可能な限り北へ迂回して赤坂へと進軍するのがセオリーです。つまり、赤坂へ向かうのにわざわざ危険を冒して南回りの、そして遠回りの墨俣を通る必要はないんです」
「なるほど論理的だわ」
「家康のルートの一つは岐阜の木田(きだ)の渡しから北方の芝原、これは本巣の北方芝原ですが、そしてそのまま神戸(ごうど)へ向かったとされています。この経路は岐阜城からほぼ真西へと向かう方角になります。そこで、恐らく岐阜経済大学の北あたりの堤で、突然家康は島津の控えていた鉄砲隊長・川上左京亮久林(ひさしげ)らの奇襲を受けました。島津は殿(しんがり・最後に止まって応戦する軍)を任される形になったものの、同時に家康の西上を阻止しようと広い範囲に兵を潜めさせていました。先に大軍勢を向かわせていた家康に油断があったのか、僅か五百の兵しか連れていなかった家康は、この奇襲でパニックになり一時は腹を切る覚悟をしたそうです。しかし家臣に諫められ、何とか必死に味方の待つ神戸の白山神社へ落ち延びました」
「え、家康が襲撃された!?そんなの知らないけど」
「いえ、これはあくまでも伝承で、実際は謎なんです。都合の悪い歴史として後の幕府によって消されたのかもしれません。そしてまた別の裏話はこうです。稲葉一鉄の息子である稲葉貞通と加藤貞康を道案内とした家康一隊は木田から本巣の席田(むしろだ)へ順調に兵を進め、神戸の白山神社で途中休憩をしました。その時に八条村の瑞雲寺住職、智功から駕籠一杯の木練柿を献上されて家康は歓喜して小姓達にばらまいたそうです。それが先程の柿の逸話です。しかし、それが時代と共に墨俣にすり替わってしまったようです」
吉継は続けた。
「黒田官兵衛や長政に代表される筑前黒田家の公式記録でもある『黒田家譜』にはこう記述してあります。『西の保(神戸町西保)を御通有し時、美濃安八郡八條(八条)村瑞苑(瑞雲)寺の禅僧、木練柿(こねりがき・枝になったままで熟するカキ)一折抗瀬川の道にをいて献じければ、家康公其柿を一御手にとらせ給ひて、大柿既に手に入たると悦びたまひて、其餘は御近習に賜はりける』と。更に『瑞雲寺文書』によるとその柿を献上したゆえんで瑞雲寺は『柿寺』と称され、寺領十石を永代下賜されました。今でもその寺は臨済宗妙心寺派金龍山瑞雲禅寺として残っています」
「へえ、柿の寺は神戸だったのね」
「正に予言されたように家康は関ヶ原合戦に勝利し、大垣(大柿)城を手に入れました。そして落城の間際、城から脱出した山田去暦(きょれき)の娘、おあむがタライに乗って逃げた故事から現在大垣市は水門川にタライ船を浮かべて観光客をもてなしています」
「はー、だからこの器はタライなんだね」
と、秀晶は「ごちそうさま」と合掌しながら感心した。
「どうだった、晶?」
「うん、本当に美味しかった~。歴史の解説も味もまさに柿尽くしだったね。で、このかき氷、ヨシが考えたの?」
「………いや、全部母さん」
「ガンバ、ファイトだよ、ヨシ。これからこれから!!」
秀晶はガッツポーズで激励した。
「親子で励ますの、却って傷つくから止めてくれないかな」
トホホと元気なく食器を片付ける吉継に東有子がシャンパンを飲みながら不思議そうに首をかしげた。
「しかし、ヨシ君の解説はまるで歴史学者のようだわ。料理は音依さんに教わっているとはいえ、小学六年生でよく色々難しい言い回しを知っているのね。そういえば秀晶もいつからか、大人みたいな喋り方をするようになったのよね。何故かしら」
「!!」
吉継と秀晶は「まずい」とばかりにギクリと体を揺らした。
冬、担任教諭の武美を見舞った時(三話参照)も同じ指摘をされたのだが、その時は何とかクラスメートの細川汐恩が話をすり替えてくれたので事無きを得た。しかし、東有子は娘の挙動不審までも同時に疑っている。
ちなみに高感応の依巫である霊媒の二人にはエディティオ・ウルガータという、言語最適化フィルターが備わっているので自然と大人びた論調になるのであるが、それは吉継と秀晶しか知らない秘密でもあった。
「え、えっと、それはヨシと一緒に夏休みの自由研究で関ヶ原合戦の歴史を丁度調べていたんだよね。ほら、関ヶ原のふれあい図書館って専門書も多いから」
秀晶が辿々しく誤魔化そうとしたが、
「秀晶、あなたの自由研究ってワイヤー工作だったでしょ?」
と、東有子に直ぐ突っ込まれた。
「いや、それは………そう、ヨシのだよ、私が手伝ってあげてるの、ね、ヨシ?」
秀晶は皿洗いに戻るため、エプロンとバンダナ帽を再度着けてキッチンに入り吉継の肩を叩くと言及を避けた。
【おい、晶、こっちに丸投げするな。俺の自由研究は『野草の標本作り』だぞ】
吉継は焦ってアルスで言い返した。
【仕方ないでしょ、こうなったら合わせてよ。そもそもヨシが調子に乗ってペラペラと喋ったからお母さんに怪しまれてるんだからね】
【そ、それは、確かに】
正論にぐうの音も出ない吉継は、
「そ、そうなんですよ。さっきのもたまたま暗記してただけで」
と東有子に空笑いで逃れようとした。それでも東有子は納得せず訝しげな視線を送り続けていた。
この時、須和子が困っている吉継に助け船を出した。
「東有子さん、ヨシ君は前からこんな感じですよ。言葉遣いはおねさんが教育しているし、まして大人の中で仕事をしてるからそれなりに老成した口調になってるの。そのヨシ君と話したくてわざわざここに通っている常連もいるくらいだもの。今は違和感があっても直ぐ慣れるわよ」
「………うーん、そうね、数カ国語を操ってなお歴史に詳しい天才音依さんの子供ですもの、考えてみればおかしくもないか」
東有子は須和子の説明を受けて腑に落ちたようである。
ナイスフォローです、と吉継は須和子に心の中で拍手しほっと胸をなで下ろした。
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